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麝香~じゃこう~ 

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麝香~ジャコウジカの雄からとる高級香料。官能的な芳香だという~

なんでも匂いを嗅ぐ子供だった。
頂いたお菓子でも、その場でまず匂いを嗅いでしまうので、
母親にずいぶんと叱られたものだ。
叱られてもどうしようもない。
無意識にしてしまう、それは癖というより本能に近いものだから。
食品だけに留まらず、手にしたものは、なんでも嗅いでみたくなった。

人も同じだ。私は匂いで人を好きになる。
醤油とみりんが混じったような母親の匂い。
得体の知れない薬品の匂いが父親の匂い。
兄からは、ほんのりと鉄の匂いがした。
そして大人になった私は、香水を纏うことを覚えた。
自分の匂いは嗅ぎたくないし、他人に嗅がれたくもなかった。

あなたと初めて出会った時、私は軽い眩暈さえ感じた。
細胞から滲み出たような直線的な動物臭が、なんともいえない芳香になって、私を一気に包み込んだ。
身体の底に熱いものがたぎり、私は正気を失っていった。
私があなたの香りを纏い、あなたが私の香りを纏う。
どんなに触れ合っても、激しく交わりあってっも、
実体は伴わないけれど。

午前0時のホテルの部屋。
あなたは熱心にシャワーを浴びている。
私の香水が、シャボンの匂いに変わっていく。
私はあなたの下着の中に、そっと香りを忍ばせる。
香水ではなく、本当の私の香りを。

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