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エピローグ 

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便利な女だと思っていた。
さほど美人ではないが、顔立ちは自分好みだったし、
少しぽっちゃりとした体型も、心地良かった。
金融関係でバリバリ仕事をしていたから、
一緒にいる時間はあまり持てなかった。
それも実は都合が良かった。
罪悪感を持たなくて済むからだ。
女を待たせる事には、快感も感じるが、
罪悪感も同じぐらい感じる。そして重荷にもなる。
それでも待っていて欲しい時には、待っていてくれる、
そんな機転もきいた。

自分は営業で朝早くから駆け回り、夜は接待で神経をすり減らす。
郊外に建てた家までは、往復5時間もかかり、
通勤に疲れ果てた自分は、会社から一駅のこの場所にアパートを借りた。
ここが、透子との場所になるのに、たいした時間はかからなかった。
透子は合鍵を持っていても、自分がいない時に勝手に来て、
掃除をするような真似はしない。
「奥さんと鉢合わせたら大変だもん」
自分はそんな透子に、甘えきっていたのだ。

「あなたに立場があるように、
私にもプライドがあるのです」
初めて合鍵を使って部屋に入った透子は、二行だけの置手紙を残した。
その手紙の意味が、その時の自分にはまったく分からなかった。

透子はその後、引越しをして会社も辞め、田舎に帰ったのだと噂で聞いた。
突然突きつけられエピローグに、騒ぎ立てることも出来ない自分は、
一人の部屋で、透子の気配を探し続けている。
そのドアを開けて、突然入ってくることなどないとは、よく知っていたけれど。
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