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指きり 

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夏の日の花畑で、僕たちは初めてのキスをした。
「レモンの味なんか、しないんだね」
あっちゃんが笑った。
さっき一緒に食べたポテトチップスの味だった。
あっちゃんは、ちょっとうつむいて恥ずかしそうに、
それでも真剣な目をして小指を突き出した。
「結婚しようね。約束だよ」
僕はしっかりと小指をからませてうなづいた。

半年ほどして、僕たちは中学生になった。
思えばその頃から、ふたりの間に少しずつ距離が生まれていた。
あっちゃんの髪はだんだん赤くなり、眉毛は細くなり、
僕と目を合わさなくなった。
そして学校に来なくなった。

経営していた会社が借金抱えて倒産して、
両親は離婚したらしいと、
母ちゃん達が話しているのを聞いた僕は、
あっちゃんちへ駆けつけた。
重機でどんどん壊されていく「竹内印刷」を、
僕はただ呆然と見ているしかなかった。
もっと前にどうして気付かなかったんだろう・・・
でも僕にいったい何が出来たのだろう・・・

幼かったあの夏の日の約束は、今も忘れられない。
もし、もう一度めぐり合えたなら、すべてを捨てて二度と離さない。
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