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名残り 

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立て続けに悲惨な出来事に見舞われた夜、
自暴自棄をつまみに、しこたまお酒を飲んだ。
駅のホームで立てなくなっちゃったあたしに、
あなたは肩を貸してくれ、タクシーに乗せてくれた。

「教えてくれなきゃ帰らない」って無理やり聞いたメールアドレス。
あたしたちは「おはよう」だの「おやすみ」だのっていう、
一行な仲になった。
ある日、それは二行になって三行になって、
すごく自然に身体を重ねた・・・そう思ってた。

明け方までいろんな話をした。
あたしは、裏切った男の事や、嘘つきの友達の事や、
面白くない仕事の事なんかを話した。
あなたがどんな話をしたのかは思い出せない。
もしかしたら何も話さなかったからかもしれない。

差し出した歯ブラシを申し訳なさそうに使って、
あなたは持って帰ろうとした。
あなたの掌からすっと抜き取ったのは、あたし。
気まずそうな顔が忘れられない。
メールが繋がらなくなった今、
どういうつもりだったのか、聞く術もないけど、
あなたが裏切ったとか嘘つきだとかは思えない。
それくらいあなたは、優しかったから。
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