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籠の中 (1) 




「誠吾君へ
私は、どんなに償っても償いきれない罪を犯してしまった人間です。
あなたと幸せになることはできません。
騙すつもりはなかったんです。
それだけは信じてください。
本当にごめんなさい。千絵」

千絵からの手紙は、呆れるほど短かった。
こんな手紙を残して突然消えてしまったのだ。
ふたりの結婚式が来週に控えているというのに、だ。
今になってみれば、それまでの千絵がどんなに悩み苦しんだことかに、
思いを巡らせることが出来る。
でもあの時の僕はただ呆然とするしかなかった。
それからふつふつと怒りがわいてきた。
裏切られた思いが増幅していったのだ。

3日たっても4日たっても千絵は戻ってこないどころか、連絡もなかった。
携帯電話は通じないし、アパートも引き払われていた。
職場は半月も前に辞めていたらしい。
「寿退社って聞いてますけど」と電話口で明るく言われたが笑えなかった。
思いっきり計画的じゃないか。
僕は陥れられたと思った。
それでも泣いたり喚いたりしている時間はなかった。
僕は式場にキャンセルを入れ、招待客に連絡をして詫びるという、
屈辱的な作業を淡々とこなした。
身内も含めて世間というものは、道から外れてしまった人間に対して、実に厳しい対応をするものだ。
僕はただ、結婚式直前に婚約者に逃げられた可哀相な男にすぎないというのに、だ。
親にはさんざんなじられた。
母親は「大川家の恥」とまでのたまって泣き喚いた。
会社の上司は黙ってポンと肩を叩いただけだったが、口の端に失望の色が覗いていた。
同僚は「どんまい」と軽く流してくれたのはいいが、
「大川を励ます会」の企画が持ち上がっているようなのには閉口した。
励まされてどうしろというのだ。

事後処理がひと段落した頃には、結婚式を予定していた日が過ぎていた。
一緒に住むはずだった広すぎるマンションで、ひとり酒を飲みながら、
僕はようやく少し落ち着いて考え始めた。
この数日の間に、僕がいかに千絵の事を何も知らなかったかということを
ことごとく突きつけられた。
出会ってから二年もの間、僕たちは沢山の話をしたはずだったのに、だ。
僕は千絵の何を見てたのだろう。

つづく。
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あったかコール天ナビ

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著作隣接権で30代,40代の転職の準備

著作隣接権とは、著作物の創作者ではないが、著作物の伝達に重要な役割を果たしている実演家、レコード製作者、放送事業者、有線放送事業者に認められた権利のこと http://coccus.catvtestchips.com/

拝見しました。

まだ製作途中のようですね。
どんなカラーを目指していらっしゃるのかが、よく分からなかったので、お返事が難しいです^^;
もう少し製作が進んでから、
お返事させていただきますね。

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