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足音 

008

「好きな人ができた」
ストレートすぎる告白に、ののしることも、すがりつくことも出来なかった。
あなたの荷物が少しずつ減っていく。
おそろいのマグカップだけが、とりのこされたまま。

あなたの為に、ふたりの為に、そう考えることが重荷だったの?
わがままも言わず、いつも笑顔を作っていたのに。
あなたは「疲れた」と言った。

最後の夜。
あなたは私を軽く抱きしめ、「ごめんね」とキスをした。
あたしは、笑顔を崩せず、ゆっくりと首を横に振る。
手のひらに残された合鍵を見ながら、泣くこともできなかった。

深夜二時。
足音が聞こえた。靴の右側ばかり磨り減る、癖のある歩き方。
あたしはパジャマのままで飛び出した。
・・・・・・・・・・
「行かないで」
あなたじゃない誰かの、背中に叫んだ。
あなたじゃないから、素直に言えた。
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